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(受験生必見!)近代史を超速で概観する③近代の正体

 

 さて、近代化が急速に広まった背景は、地中海文明以来の「加速」や「合理性」だけではありません。もう一つの鍵は宗教改革に有ります。当時の教会は、神の代理人という立場をいいことに「神」と独占していました。聖書がラテン語で書かれていてそのままでは一般の人々は読むことが出来なかったからです。

 言語の独占は権力の独占に繋がります。私たちは権力といったとき、軍隊をもっていたり、資本を握っていたりということを考えますが、実は「知(情報)を独占すること」こそが、権力そのものなのです。中世になると、神学が最も価値のある知(情報)となります。その知の源である「聖書」を庶民の読めないラテン語で記し、独占したからこそ、教会は全てを支配出来たのです。つまり聖書がラテン語で書かれているということが、教会にとってはすでに権力を守る「盾」になっていたということです。

 そんな中、ルターが「聖書を民衆の手に」をスローガンに、聖書のドイツ語訳を施したことで、教会を介さずに民衆が直接に聖書の教えに触れることが出来るようになったのです。民衆に知を取り戻そうとしたのが、ルターの宗教改革の意味だったのです。ただ、これは民衆にとっていいことだけでは有りませんでした。神と一対一で向き合うということは、実は、聖書を通して神の前に直接自分がさらされるということでもあるからです。

 一方、ルターと同時期にカルヴァンの説いたもう一つの宗教改革である「予定説」は、資本主義の発展に大きな影響を与えます。予定説では、神は救済する人間をあらかじめ決めていると考えます。そしてそれは神の決定なので、人が後から善行を積もうがどうしようが変えることはできないのです。努力をしてもしなくても結果が変わらないなら努力してもムダ、厭世的になりそうなものですが、カルヴァン派のプロテスタントたちは、人一倍熱心に善行を積むようになります。なぜなら「全能の神が善行をなすような人間を救わないわけがない」という神への信頼があるからです。

 善行の中でも、仕事をすることは彼らにとって特別重要なことでした。なぜならプロテスタントはその厳格さゆえ、世俗の職業は神が各人に与えたミッションであり、労働することが「神の栄光を増す」ことにつながると考えたからです。

 一生懸命働くことが神への奉仕になるとされ、だから彼らはものすごく熱心に働いたのです。しかも、プロテスタントは禁欲を旨とし、消費にお金を使うことを嫌うので、お金は貯まっても使われることなく、ひたすら貯め続けられます。貯めて、貯めて、それでも真面目に働き続けるのでお金はどんどん貯まっていきます。仕事の拡大のために、貯まったお金を使うのです。現在でいう投資です。そしてそれこそが資本主義誕生の母体となったのです。

 アメリカの成功も、プロテスタントの精神なくして考えられません。建国時の合衆国を代表する人物ベンジャミン・フランクリンこそ、この精神の代表者です。良くも悪くも今の世界は資本主義がリードしています。資本主義という仕組みは、私たちが思っている以上にモダン(西洋的な近代化)の圧力とセットなのです。

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