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情報化社会の権力関係

 最近、ツイッターなどのSNSで有名人とも交流できる時代になりました。この関係において、フォローする一般人よりフォローされる有名人の方が力を持っているように思われがちですが、実は彼らは「こっちは知られてるけど自分は相手を知らない」という、圧倒的不利な立場にいるのです。

 

 ギリシア神話にメドゥーサという魔物がいます。メドゥーサは目に不思議な力があり、見られたものは石になってしまいます。神話とはすごいもので、この魔物は視線の方向性によって人が支配されることを、「石となる」ということで暗示しているのです。常に視点を握っている側の人からすると、私たちはメドゥーサによって石にされてしまうような存在なのです。

 情報が流出しただけで、その人の秘密が暴露され不特定多数の視線にさらされ、その人は裸にされ、石となってしまう。今の情報社会には、そんな危険が、さまざまな場所に潜んでいるのです。かつて、教会が「知」を握っていた時代は、人は教会から与えられた「知」にしか触れることができませんでした。「知」に対して、受動的で間接的な関わりしか持てなかったのです。

 

 近代になり、知は教会から解放されましたが、それでもそれを手に入れるためには、それなりの努力と、対価を支払わなければなりませんでした。一生懸命に勉強して良い学校に経済を、お金を支払って本を買わなければ、知識は得られなかったということです。しかし、コンピューターが進化し、インターネットが行き渡った現在では誰でもクリックするだけで多くの知識が無料で得られるようになっていきます。世界トップレベルの大学、MIT(マサチューセッツ工科大学)の講義もかなりのものがネットを通して公開されています。高いお金を出して留学しなくてもMITの講義内容を誰でも知ることができるのです。

 このような情報化社会では、より多くの情報を得た人が勝つという図式が出来上がっています。

 例えば、仕事で言えば、これから先に何がヒットするか、どういったものが求められているのかそうした情報をより早く、より多く、そしてより正確に把握したものが、次の先手をうち、勝つことになります。しかし、今のように情報が多すぎる環境ではこれは危険を伴います。なぜなら、どこまで調べても情報が尽きないからです。調べることはいくらでもあり、お金を掛けずにそれを調べる手段もある。そんな環境で、より多くの情報を得た人が勝つとなると、勝ちたい人は二四時間ずっと情報収集とその処理に追われることになります。

 その結果、それを乗り越えた人はすごい収入を得るけど、その競争からこぼれ落ちてしまった人、途中で諦めてしまった人は、一生年収200万円というような冷たい社会になっていきます。

 つまり、情報の無料化という一見すると公平な条件が、実際には格差を拡大するという皮肉な結果につながっているのです。宗教改革で個人が個人として向き合う事になったことが資本主義に繋がり、勝つために情報が最も重要な要素になり、情報の差が貧富差だけでなく支配・被支配にも繋がる時代になりました。近代は実際の「目」、視線や視点が権力とつながっていましたが、今は、それがさらに抽象化されて「情報を握ること」が、権力の中心になってきているということです。

 そう思って周りを見渡すと、確かに勝ち組になっている人は決まって無口です(笑)。相手の話は聞くけど自分の事は話さない。そうしているうちに、自分はあいつに何でも知られているけど、俺はあいつのことを何も知らないという除法格差が生じ、それが無口な人の身を守り、知ってか知らずか他者に対し優位に立っているのです。
自分の事は極力話さず、聞き役に徹する。それが人間関係だけでなく社会の上でも勝ち組を生む時代なのかもしれませんね。

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