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冠詞で解く英語の長文問題

日本語で論理指標と言えば、「あの」「この」といった指示語や、「だから」「しかし」に代表される接続詞が該当します。
対して、英語の論理指標はより豊富で、しかもそれぞれの適用ルールも日本語以上に明確です。論理的であるとは、主張に対する根拠が明確に示されていることも含みますが、前後関係が明確であることも指します。この「前後関係指示指標」の弱さが、日本語の論理性の最大の弱点です。後日改めて投稿しますが、日本語は論理が非常に脆弱な言語なのです。
例えば、次の文を見て、ABの前後関係を決めてみて下さい。

A:スープカレーは美味しいよ
B:昨日スープカレー食べたよ

Bが食べたという事実を表し、Aはその感想と考えればB→Aと判断できます。そして、それはあくまでも意味による判断です。意味は主観的です。これを、「Aスープカレーって美味しいんだよ→(だから)B昨日スープカレー食べたよ。」と繋げても日本語として成立するし、誰も×は付けられません。
対して、論理が心の習慣として根付いている英語は、そのような主観的判断の余地を許しません。何故なら、名詞には必ず、冠詞という論理指標が付くからです。aは初めて話題にする名詞につける、theは共通認識の有る名詞につけると決まっているのです。上の文を英訳すると

:I think (a/the)soup kurry is delicious.

B:I have eaten (a/the) soup kurry.

 となります。Aの冠詞がaなら二つの文の順番はA→Bですし、theなら、B→Aです。意味による主観的判断の入る余地は有りません。
英語は、このように前後関係を表す論理指標が非常に発達しています。日本語が意味で主観的に論理構造を判断するのに対し、英語は構造で客観的に判断するのです。だから、意味なんか訳さなくても、atheの関係だけで前後関係が誰にでも(=主観的な判断を排除して)理解できます。
更に、
thisthesethatなどの指示語の適用も日本語よりキッチリカッチリしています。日本語の「この」「あの」は、明確に使い分けられているとは言えません。例えば「村上春樹の最新作は、またも世界中で高い評価を受けている。(この/その)本のテーマは、基本的に前作を踏襲している。」という文で、どちらを使っても文は成立します。それは「この」と「その」はあくまで話し手(書き手)の主観的な距離によるからです。
しかし、英語の
this(these)は明確に直前の内容を受けます。That(those)を使っても同じ意味で成立するという場面はほぼ有りません。
この違いの重要性が分かる問題を一つ用意しました。入試問題の英文の日本語訳です。下の文を読んで、ABCを正しく並び替えて下さい。

北半球の温暖な気候の下で暮らす人たちは、非常に熱くて湿気の多い天候が続くのを経験することが有る。
{   }
このように名づけられた別の理由は、犬はこの時期、何らかの神秘的な力のせいで狂暴になると信じられていたことに有るのかもしれない。

{   }内に入る次の三つの文を正しく並び替えろ
A:古代ローマ人は、この時期に太陽とともに昇り、the Dog Starと呼ばれるシリウスが、熱い天気を引き起こすと信じていた。
B:この表現は、古代ローマ人が使っていた言語である、ラテン語に由来する
C:7、8、そして9月初めに現れるこの時期は、英語ではdog daysと呼ばれる。

いかがでしょうか?意味から判断し、Bの「この表現」を頼りに、C→Bと繋がることを判断し、後はどうとでも繋がりそうだってのが大方の解答ではないでしょうか。
しかし、英語は違います。
本文の最初から{   }までを英訳すると、
People in mild climates in the northen hemisphere sometimes experience periods of very hot and humid whether.
そして選択肢の冒頭を訳すと、
A:They beliebed that
B:This expression comes from Latin,the language used by the ancient Romans.
C:These periods,(中略)..are called dog days in English 

前述の通り、英語の冠詞や指示語は、原則「直前の語」を受けます。日本語のように二つも三つも前の文に戻ったりしません。ということは・・CのThese periodsは、本文中のperiods of very hot and humid whetherを受けていることが、訳すまでもなく分かります。AのTheyは人かモノを受けますから、Bの最後、ancient Romans=古代ローマ人を受けていることが分かります。
このように、英語だと誰もが納得のいく回答が作れる論理問題も、意味でしか論理を判断できない日本語では作ることが出来ないのです。
長文を読むときは、なにげない存在に見ていた冠詞に、注目してみて下さい。実はそこには、長文の構造を読み解く大きなヒントが隠れているのです。

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