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人生の教養!西洋哲学を俯瞰する➀

 大人の教養として大切なもの、大人になってから学ぶ難しいもの、哲学のイメージは、そんなところではないでしょうか。五教科に無いし、文学部の哲学科にも行かない限り縁のなさそうな学問と思っていませんか。確かに、思考力や論理力が発達途上である中高生にとって「哲学」は聞くだけで頭が痛くなるような言葉ですね。しかし、哲学とは本来人間を知り、社会を知り、自分がどう生きていくか、自分という人間をこの先どう社会と関わらせていくかを決める指針となるものであり、それこそまさに教養と言えるものです。

 また、考え方、社会との関わり方、人との繋がり方に一本筋が通っている人は、必ず信頼されます。皆さんの周りにも、考え方が全く合わないのにどこか信頼できる人、全く違う生き方をしているのに惹かれてしまう人が一人は居るのではないでしょうか?私にも居ます。

 

 しかし、そうした軸を一人で見つけるのはとても大変なことです。ですから、自分の殻に閉じこもらずに、偉大な先人たちの考えを学んでみましょう。きっと好きな考えや自分と似た考え、自分もこう生きたいと思える思想に出会えるとハズです。それが自分の生き方に反映され、しっかりと根付いた時、他人からも自分からも信頼される自己を作り上げることが出来るのではないでしょうか。

 さて、まず今回は、2500年に渡る西洋思想史にさらーっと概観してみましょう。鍵になるのは、「世界の本質を一元論的に(一つの原理で)説明したい」という西洋人特有の欲求です。この欲求は時代を超えて共通する西洋思想の根幹です。そして、その西洋らしさを作ったのがソクラテス以後の古代ギリシャ、その成果に目を付けて利用したのが(ローマ帝国下で国教となっていた)カトリック教会です。カトリックの最大の目的は神の存在を証明すること、神の存在を教会が独占的に握ることによって「神とつながっている俺たち教会様が一番偉いんだぜ!」って言う事で、絶対的な地位をキープしておきたかったのです。

 しかし近代になるとデカルト・カント・ヘーゲルらが近代合理主義を発展させ、キリスト教からの人間の解放を説きました。「みんな、神も凄いけど人間の方が凄いんだぜ。人間には他の生き物に無い理性が有るんだから。神に与えられた本質を信じるのではなく、人間自身の手で本質を発見していこうぜ!」という主張です。

 

 3人の功績を一言で言えば、デカルトが神を絶対他者とする人間の新しい拠り所として自我を示し、カントはそれまでの認識論の常識(人間が見たり聞いたり感じられる対象がそこに有るからこそ、人間はそういう知覚能力を発揮できるんだ)という思想を「いやいや、それ実は逆だから(^^」と主張して対象に対する認識の優位性を示し最後にヘーゲル「人間の意識も歴史も全て人間の精神が動かしてきたんだ」と主張したことですそして、3人に共通するのが、理性への信頼です。

 

 近代というのは、人間の理性に絶対の信頼を置く時代だったのです。 そしてそれこそ、西洋哲学完成とも言えました。しかし、今度はその完成したパズルをぶっ壊して一から作り直そうとする動きが出てきます。

 

 それがニーチェやマルクス、ソシュールにフロイト、ハイテッガーやフッサール、レヴィ=ストロースなどの現代哲学です。彼らに共通するのは、「理性理性って言うけど、人間を動かしてるのは本当に理性だけかな?他に何かあるんじゃないか?」っていう疑いです。

 なぜそんな疑いが出て来たかというと、理性の産物である自然科学の発展や近代化、帝国主義が貧富の拡大を産み戦争の犠牲を増やすなど、必ずしも人間の暮らしが豊かにしているという実感が持てなくなってきたからです。そして理性に変わる原動力をニーチェは「力への意思」、ソシュールは「言語体系」、フロイトは「無意識」、レヴィ=ストロースなら「構造」と、それぞれ論を展開していくわけです。

 さて、うして概観してみるとどうやら西洋思想は、以下の三つの段階に分けて考えることが出来そうです

1古代ギリシャ、その思想を利用したカトリックによる一元論

2デカルトに始まりカントが展開、ヘーゲルが大成した近代合理主義

3理性への疑問に端を発した、人間の本質(原動力)探しの旅である現代思想

この3段階をベースに考えていくのが西洋思想を理解する一番近道かと思います。

 ではこれからもう少し丁寧に思想の流れを見ていこうと思いますが、皆さんも一つ意識してほしいことが有ります。それは「何故この人はこの時代にそんなことを思ったのか」と、原因を考える意識です。人が何かを主張するとき、その多くは「疑問と批判」を出発点にします。何かを訴えるのは、「それ間違ってるよ!」と言いたい対象が有るからです。つまり、どの思想も、誰かの思想の批判から始まるという事です。

 だから、アリストテレスを知るにはプラトンを知らなきゃいけないし、プラトンを知るにはソクラテスを知らなきゃいけない。そのように「それまでの時代を貫いていた常識への挑戦」を意識して勉強することが哲学を理解するポイントです。

 次からは、古代ギリシャから順を追って西洋思想の世界を、もう少しディープに旅していきましょう。

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